地元のテレビのインタビューを受けた
いやあ、大変な事になった、はずだった。
天神のハンドメイドチョコレート売り場で、テレビクルーにインタビューされたのがきっかけだった。
テレビクルーも普通に
「うわ!ほんとにハンドメイドしてるオッサンがいるよ!!」
それくらいのつもりでインタビューしたに違いないし、作ってるのもちょっと下手なチョコレート菓子の作品が出てくると踏んでたはずだったろう。
こんなんが出てきたらそりゃ驚くよ!!
「うわあ・・・」(一回目)
ディレクターの方、作り始めたきっかけ訊いてきた。
「いやあ、元々かみさんの趣味で、がんで死んじゃって、チョコ道具残されちゃったんで」
「うわあ・・・」(二回目)
そっから先は結構やり取りがあった。
メイキングの動画を依頼されたり、写真をいっぱい欲しいと。
だいたいは要求に応えたつもり。二日がかりになった。友人も呼んだ。チョコもわざわざこしらえた。
ひょっとしたらディレクターさんはあの「チョコレートを男子が買う時代到来」のコーナーすべて、俺に割くくらいの変更も考えたのかもしれない。
だがメールやり取り中でも、何度も「上と相談の上」という嫌な予感のする単語が出てきたり、「少ししか紹介できないかもしれません」という旨の報告を何度もうけた。
二十秒ほどだったかな、俺の出番。
いろいろメイキング動画を作って送ったものは没になった。
お詫びのメールを頂いた。
「写真一枚になってしまって、大変申し訳ございません。でも今後、何かあったらご連絡差し上げます(大意)」
もちろん、二度目があるかどうかは知らない。ただあの労力を考えて結果がこれではそれは望めないかな、とこちらも長年芸事やっている自分にはシビアに判断できる。あれだけの材料をふんだんに切り捨てられるシェフがいらっしゃるのだろう。そして流れの速いテレビの世界、もう別の方向に眼は向いているだろう。
テレビの何気ないインタビューの一つ一つに、零れ落ちた情報やドラマがある。
少し身をもって知ってしまった。
俺の前で長々とチョコを40箱買った自慢をしていたおじさんにも、俺と同じくかみさんが死んだくらいのドラマがあるのだろう。獺祭チョコを買って食ってた学生にも。きっと、いやおそらく。
顛末はこちらにて。でもテレビの力は凄いもので、ブログのアクセスが10倍ほどになった。たった20秒でも。凄いものだ。
何はともあれ感謝しています。御年数えで45の私めを30代とサバ読んでいただいたことにも(苦笑)。