JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

青い靴

 カミさんの調子が思わしくない。
 まあ病状をつらつら書いてもどうにもならないので割愛する。今絶賛話題の感動ポルノになるだけだ。まあ発信側の当事者の気持ちがわかる身としては、それにいちいち白けて声を挙げるるフツーの方々のほうが「飽食の愚者」にしか見えないのだが。まあどうだっていい。

 先日長年の戦友である森耕さんが長崎県からライブしに来るというのでラウンジサウンズに出掛けたのだが、電車の中で靴がボロボロな事に気付いた。それはもう酷い有り様だった。
 その靴は青だったのだが色は真っ黒。破けているだけと思いきや、底のゴム部分が剥離しかかっている有様だった。こりゃこんな靴でどこに向かったって面白いことに出遭えるはずはない。
 ライブは楽しかったが、心底は楽しめなかった。そりゃあね。
 なので昨日靴を買った。同じ色の青い靴。新品の靴で向かった病院で、病院からカウンセリングを受けた。カミさんの希望だったらしく、家族の心理面サポートもやっているという。大変有難い。このような面談があったということで、やはりお洒落は足元からではないが靴は自分の行き先の空間を最初に切り裂く斧であるから、ちゃんとしておかないとなあと。

 なぜ青い靴なのか、敬愛するたまの曲「青い靴」に掛けている。いい青色。さて、かみさんの病状も訊けた。そして昨日は今まで通りの平和なお見舞い。この先は見えないが奇跡が無いわけでもない。もちろんあるわけでもない。もっと遊ぼうよ、朝の来ない夜に。この靴を履いて。破けた青い靴は、両手に持ったまま野原に立つことなく、もう燃えるゴミ袋に入れてしまった。