グラディウスIIを置くゲーセンに外れなし
さくまあきら氏がやぶさかでない論調でコナミを一方的に批判したツイートをして物議を醸したのがここちょっと前の出来事か。
「桃太郎電鉄」のタイトルをソーシャルゲーム化して売りたい、作者としてはそれは反対したい、ならばシリーズは塩漬けにするしかない。クリエイター的思考であれば忸怩たる思いが出るのも致し方なく。
で、思い出したのがコナミが塩漬けにしているのかしていないのか、ともかく
「そもそもクリエイター自体が散逸して最初のテイストを再現できなくなった」
というグラディウスというタイトルを思い出したわけです。
グラディウスⅣは明らかに「残された店員が、居なくなった大将の味を再現しようとしたけど味の落ちたラーメン」でした。パロディウスシリーズから導入された悪弊「タイマーランク」も健在で、興を明らかに削いでいました。
実はPS2のグラディウスⅤを期待して買いました。トレジャーさんには失礼と承知で書きますがグラディウス味じゃなかったのです。トレジャー味でした。
グラディウスシリーズの肝は
「ゲーセンでいかにワンコインで長く遊びながら見せるプレイを出来るようになるか」
です。明言します。
※なお同じ横シューティングの「R−TYPEΔ」は、家庭用であるにもかかわらずこの肝の部分を共有していました。あれは矜持であり、執念であったと受け取っています。
これはグラディウスII、最終面の復活パターンでのスーパー安全地帯。誰が気付いたんだろう?プレイヤーさんの許可を得て写真撮らせていただきました。感動!!
ゲーセン側からすれば人気タイトルではあるけれど、インカムは当然長時間プレーヤーが続出するからそんなに上がりません。そもそもグラディウスって1の段階で難しかったんです。
IIはどのゲームセンターにもありました。人気タイトルだったけど、いつも誰かがやっていた。1周クリアするのに大体30分かかるゲームです。増して2周、2週…となると…。ちなみにスコアのカウンターストップがかかるのは15周くらいです。Iは3周目で難易度が上がらなくなり、サラマンダは8周目、IIも同じく8周目だったか。
そして、その高次面をたやすく解くスーパープレイはギャラリーをどれほど魅了したか。何度そのような場面に遭遇してはいたく感服し、自分も真似ようとして自爆したか。
人気、そして素晴らしいゲーム性を持ちながら、長く置けば置くほどお金が入らなくなるシステムであったのが悲劇だったのかもしれません。
そして、いろんな意味で満を持して、グラディウスIIIというゲームが出ました。
もう、1面から壮絶な難易度でした。
さらに背景以外に無敵になるというバグ技まで発見される始末(※実はそれでも最終面クリアが難しい)。
見て覚えるゲームとしては美しかった。だが、ゲームとしては崩壊していた。
同時期の高難度+ノーミスゲーム過ぎてゲーム性が崩壊していた「ダライアスII」とも含め
「横シューティングゲームのカンブリア絶滅」
とまで言わしめる惨敗を喫したのでした。
長の年月、グラディウスの系譜は派生作品「パロディウス」シリーズ、家庭用でのリリースに留まりました。PSでリリースした「グラディウス外伝」なんて佳作もあったっけなあ。個人的には「実況おしゃべりパロディウス」が「ああ、グラディウスシリーズだな」と安心して楽しめたのを覚えてます。
ゲーセンにおいてグラディウスは、過去のものになりました。
「長時間プレイするヤツが出る」→「へたっぴが真似しようとして難しくてどんどん死んでインカムが入る」
がビジネスモデルだったのですが、グラIIIの失敗直後に
「ストリートファイターII」
が登場してしまうのです。そう、対戦格闘ブームです。対戦格闘ゲームを置けば金が入る、と評判でした。全然効率が段違いのビジネスモデルを持つゲームの台頭にはたちまち駆逐されてゆきました。
同時に同じようなビジネスモデルだったアクションゲームとともに。
今、「あの味」を出すゲームをゲーセンで遊ぶにはどうすればいいのか?
答えはあの頃のクリエイターがもう一度立ち上がるか。
それとも単純に、昔のゲームをゲーセンの片隅に置くか。
冒頭の経緯にもあるとおり、前者はほぼ不可能でしょう。
「グラディウスII(もしくはIII)を置くゲーセンに外れなし」
これは私の持論です。
グラディウスはそういうわけでもうゲームセンターでは過去のものです。
もう、よいでしょう。一昔前の世代の方々が愛してやまなかったピンボールのようなものです。多分、きっと。基盤が物理的に廃れてゆくまで、片隅に置かれるのがお似合いであり、そしてそれは我々世代の癒しとして時々プレイされていくべきです。
ハイテクセガ天神で、惜別とともにクリアしたこれ。1番装備でした。
いくつになっても3速でのカニが苦手で、いつも死にます(苦笑)。
余談ですがドリフターズの高木ブー氏は東京のとあるゲーセンで、グラIIをクリアしてたそうです。1周か2周かは知りません。1周でもたいしたものです。流石何らかの道を究めた方は判るのだなあ、といたく感服いたしました。