JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

二人の優しすぎる男

 先日ヒカシュー観に行ったとき、出演してたオクムラユウスケさんから
 「うちのパソコンの調子が悪いので見ていただけませんか」
 とお呼びがかかった。

 会社帰りに行くことにしてたら、ちょうど嫁が天神に出て遊び倒していた日だったらしく。
 ちょうど嫁からメール。「ご飯食べに行かない?」「ユウスケさんち行くよ」「じゃ一緒に行くか」。
 嫁と合流してユウスケさんちに行くことに。

 パソコンは、データの溜め込みすぎでハングしていただけだったので、Cドライブに入りっぱなしのデータの移動を行ったところスッキリ。
 長男アビくんはずっと乗り物のDVDを見ながらブルドーザーに思いを馳せていた。
 嫁はニコニコとその様子を眺めていた。

 「いやあ、こないだのチンロックの映像、DVDで出そうかなと思ってるんですよ」
 とユウスケさんは言った。あれは凄いライブだったのだ。是非出して欲しいと願った。
 そんな会話をしながらふと「ユウスケさんはあんまりYoutube出してないですよね?」って話。「いや、やり方知らないんす」ありゃ、そうなんですか。自分、代わりにやりましょうか?なんて軽い話。

 パソコンはひと段落。一週間後に往診しようとなり、お線香を上げて、嫁と二人で帰路につく。
 嫁がついてくることになったのは偶々で、よくよく考えたら来る予定なんてなかったはず。呼ばれていたのか、会いたかったのだろうか。奥様が存命で闘病していたとき、嫁の顔を見て浮かべていた満面の笑みをふと思い出した。

 次の週。往診。
 パソコンは何事もなく立ち上がった。
 ユウスケさんとおれ、二人の男が小躍りするくらいに。

 「いやあ、Youtube何上げようかと思ったんですけど、これ上げようかと思って」
 映像をアップする件、ユウスケさんは長い間迷っていた。何枚もの過去のDVDファイルを眺めて。そんで自分に手渡されたのは。
 あのチンロックのDVDではないか。
 「みんなに見てもらうのが、いいかなあと思って」
 ユウスケさんの優しすぎる不器用さが垣間見えた。

 おれは、お人よしで優しすぎるがゆえに、こんな恐れ多いものをYoutubeにアップするという大役をまかされてしまった。


 (動画ではよく見ると最前列で夫婦で映ってます)

 家に帰って預かったDVD、まず嫁と一緒に観た。
 二人で泣いた。