チンロックレポ・その1
開場直前、ちょっとリハーサルがてらにゲームを流したとき。
今回曲は、自分が長年オマージュにしてきた青春時代のゲームミュージック前回のものを自作していたんだが、これが呆れるくらいいい音で流れてきてねえ。
ちょうど、今年の夏は一つの夢が潰えた。
アレは事情を知るものには、周りから同情しかされない潰え方だったけれど。それでもそれはもう心を折るには十分だった。
でも、あそこで大音量で、あれがかかったとき。「俺が音楽でやりたかったのって、こういうゲームミュージックだろ?」とどっかしらから声がかかってきて、泣きそうになった。そっかあ。あれが叶わなかったのは、この夢をかなえるための対価だったのか。そう思った。
いくつかのダメ出しを聞き、開場とともに自分たちは開場の隅っこで作業。いよいよオオクボTから開幕だ!!
オオクボT、説明は不要。なんか面白さを言葉にしてもつまらない気がします。お笑い芸として体系化したらきっと途端につまらなくなっちゃいそうなバランス。伝統芸です。
AMAHAは本当にカッコイイ。僕がやりたかったのはこんなバンドじゃない!!とか感じてしまうほどカッコイイです。電子音のチョイスと音色が本当に素晴らしい。ああいう音は自分には出せません。たぶん照れが入ってるからでしょう。
INNJAPANはスーパー演劇再び!!しかし演奏のほうもやっぱ落ち着いてきたというか物凄いと思う。最近の「東京に上京」は特に凄い。あの一番最初に聞いて笑いが止まらなかったあの曲が、今やかっこいいんだもの。
続いてとんちピクルス。作業をしていて「鍾乳洞の長い旅」だけをステージ脇で。あの曲、VOODOOの空気が変わった。演劇ってお客さんがなにもしなくてもかしこまって観てくれて、ライブは本当に面白くないものにはかしこまっては見てくれないシビアな場所という認識がある。あれは凄かった。小劇場さながらに、客の動きが止まっちゃってるのが本当にわかった。
続いてTHE GOGGLES。なるほど、と思った。そりゃお蔵入りになるわ、と。やってることの技術的負担の大きさと、果てしないくだらないアイディア(ちなみにリリック)の融合。個人的にはMCでの「はい、だんだん曇ってきましたけれどもね」という一言が頭に残っています。ビバ・チープトリック!!
そしてaccidents in too large fieldは凄かった。ノイジーな音をめくらめっぽうに発散しているようでいて、とてつもないアンサンブルが途切れ目なく続くジェットコースター。コンクリートの廃墟のような、放置された遊園地のアトラクションみたいな、なんかそういう情景が浮かぶバンド。いや、これは凄すぎる。かっこいいとか言う段じゃない。
こんなん続いて、大丈夫なのか?もうすぐ出番じゃない?
続く
前日、うちに風原君がやってきて、最後の最後の仕上げをした。
ゲームのアップはその後、二人が平行してやったデータを自分が一つにまとめ、徹夜で完了させた…はずだった。
朝6時23分くらいだったと思う。
試運転で上手く表示されていたキャラクターが暴走、ビルダーが強制終了。
再起動をすると、なんとデータを吹き飛ばしたままビルダーがオートセーブをかけていた!!
ここで真っ白になりつつも、だ。
死に物狂いで、リカバリ、撒き戻し作業の嵐、記憶の淵にあった数値の再入力。このとき、風原君が持ってきたデータを別のHDDに「こんなこともあるはずだ」といって保管しておかなかったら、どうなっていただろう。
今回の作業、風原君は本当に神がかっていた。
一睡もしないまま、仕上がったのは朝10時。
案じて5時くらいまで起きていたらしい嫁が目覚め、何時に出かけよう?と言って来る。空元気で返事。
家を出て、天神で食べたハンバーガーが、やはり徹夜明けには重い。ゲーセンに向かう嫁といったん別れ、いざ開場へ。
会場ではちょうど、たこさんがリハ中。
ゲーム製作中何度も資料作成で聞いた「ナイスミドル」をやっていて感激。去年はペンペンズだったな。
到着したNeco眠るさんからCDを手売りしてもらう。
QMAで「いやー、自分の名前でもないのに『ネコねむる』って名前でやってるんですよー」とカミングアウト。公認になりましたので、かみなりさんがカンストになったらあっちを上げようかしら。宝石賢者試験はあんまり興味ないので。
オクムラさんのリハで、めったに聴けない曲を聴く。
早くも泣きそうになる。
実際今回のチンロックに臨んでいたのは、虚勢も張れないみじめったらしい素の自分だった気がする。いろんな人から「いつもとキャラ違いますよ」といわれた(苦笑)。しょうがないよなー、この時点で30時間寝ていないわけだし。
しかし、夜はまだまだ長い。
いよいよ開場。
(つづく)