JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

宇宙サービス音源「業務用」曲紹介その9「これ以上成長の望めない君に」

宇宙サービス音源「業務用」
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(※文中、歌詞に出てくる、本当に「その日」の夕焼け。)

■9.これ以上成長の望めない君に

 がっつり自分と向き合って作ったシリアスソングです。やだ恥ずかしい。
 20代の自分には絶対聴かせたくない歌です。卑怯じゃないですか、ヤダー。
 あ、まだこんな感情が少しでも自分にあるの、ちょっと嬉しいかも。そう思う自分がまたはずかしー、きゃー。

 この曲は、出勤途中の太宰府線乗車中に唐突に出来ました。車庫跡のあたりでサビとフレーズがぽんと。
 嫁が病気になって、そこから先を考えて悶々としていたとき、いや今も逡巡している心中を作った歌。
 Bメロの唐突に出てくる「夕焼け」「手をつないで」は嫁の人生の大一番の日のこと。
 嫁が卵巣がんとわかり、緊急手術。
 卵巣がんは自覚症状が消化器系の炎症に似ていて、内科で誤診される可能性が高い危険ながんです。
 発覚したときにはステージ4の一歩手前でした。
 生存確率30%の大手術の後、麻酔からかすかにさめた嫁が手を握り返してきた思い出。悲しい告知の後に病室から見えた夕焼け。

 「これ以上成長の望めない」というなかなかギョッとするようなフレーズ、やはり「望めない立場」にならないと扱えませんね。痛感しています。日のあたる場所ではどうしても影のさす位置に立たざるを得ない屈辱、それから何度も味わったものです。デリケートな話なので抽象的かつ軽めなネタバレ、と言うことで。

 初出は岩国でのライブでした。てっちゃんがライブ後興奮気味に「この曲本当にいいよ!!売れるよ!!」って誉めてくれましたがそんなこと初めてです。

 この曲は初めて風原君に作詞を頼んでいます。というか、ライブで
 「ここは風原君の好きなように作ってくれ」
 と頼み、風原君はこういうアンサーを出してくれました。本当に、いい奴です。
 まあ、「何も考えてないよ」って表情変えずに言うんだろうけど。

 実はこの曲、サビ部分以外は非常に難儀した曲でありまして、ライブでやりながらしっくりいく言葉を少しずつ変えていってます。
 ベース音先行で歌メロも作ったし、どうもしっくり行く感じにいつまでもならないような…、うーむ。
 「ジマオさんは歌詞を覚えられない」
 と他メンバーから揶揄されることがあるんですが、この曲についてはライブごとに脳内の歌詞コスモからエイヤっとつかみとって発してたみたいな。そうやって作った曲であります。最近は定着してきたんだけど、今度は根本的に脳機能の低下で物覚えが悪くなってきた気がしてきて…ギャー、老化現象怖い!!

「これ以上成長の望めない君に」
作詞 ニシジマオ・風原優人 作曲 ニシジマオ

思いがけぬ禍のあとで
理不尽なことにいきどおって
ぼくらはただ泣くことしか出来なかった
はえげつないため息を吐いて
この世を全て馬鹿にして
だけどぼくは君を見捨てないよ

これ以上成長の望めない君に
君が望む僕ではもうない僕が
これ以上成長の望めない君に
これから進むべき道を照らせますように

僕らは歩いてく
僕らは立ち止まる
僕らは下を見る
僕らは上を見る

何にもなろうとしないくせに
何かになれた振りばかりして
人を傷つける事もいとわなくって
でもやっぱりつまずいたときに
君は何になれるのかなって
優しくそばで言葉をかけるから

これ以上成長の望めない君に
君が望む僕ではもうない僕が
これ以上成長の望めない君に
これから進むべき道を照らせますように

僕らは歩いてく
僕らは進み行く
僕らは考える
僕らは乗り越える

どうしょうもないふりしていても空は
夕焼けの色をしていて
手をつないで

これ以上成長の望めない君に
これ以上成長の望めない僕が
これ以上成長の望めない君に
これから進むべき道を照らせますように

僕らは歩いてく
僕らは上を行く
僕らは考える
僕らは・・・