JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

狙われない街

 「ウルトラマンマックス」に実相寺昭雄が監督で何本か撮ったときの作品で、メトロン星人が再登場する回があることを知る。
 http://hicbc.com/tv/max/contents/story/20051210/story_main.htm
 土曜、見てみて思った。

 怪獣はいるのか?宇宙人はいるのか、それとも着ぐるみなのか。薄ぼんやりと、忘れてしまった過去の記憶の中に、本当は埋もれているのではないのか?現実と非現実のタイドプールに真っ赤な夕日が差し込み、その水辺で今、真っ赤に染まった僕らの楽しい記憶が、明日になったら消えていくのではないかという漠然とした不安が浮かんで、泣きそうになる。

 何もせずに、その夕日の美しさを讃え、消えていくメトロン星人に「俺も、連れていって欲しかったな」とつぶやくくたびれた風情の刑事。

 平成後に、こんな作品が再び作れるようになったんだなあ、と思うと日本の特撮は本当に捨てたもんじゃないね。作ったのは昭和の偉人に数えられる人だけれど、そういう人が平成になってこれを作ったことに意義があるのだと思う。
 
 それにしても寺田農が演じたメトロン星人の軽妙洒脱なたたずまい。あんな瀟洒な熟年になりたいと思った。叶わないかなあ。