JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

第14話「あんたこのポリスストーリー2をどう思う」

※当記事は「必殺シリーズ」「必殺仕業人」とは一切関係がない二次創作です。

主水、南国でバカンスとしゃれ込む

脚本:安倍ニコルソン
監督:蔵原ニコルソン

あらすじ

 寒空の下小雪が舞う江戸の片隅、閑古鳥の鳴くビーナス屋でほこりを払いながら、不景気と己の時代考証のなさを嘆く嘉吉。そこに飄々とやいと屋が羽織を着て現れる。「これからちょいとお大尽の往診でね」と気障な台詞を放つ通りの向こうから、長旅で草臥れた風情の侍の親子がよろよろと歩いてくる。上州から脱藩してきたという黒木栄之進(チャック・ウィルソン)は、重大な藩の秘密を知ってしまったために妻子とともに江戸へ逃げてきたのだった。しかし黒木は無常にも、嘉吉とやいと屋の目の前に横たわる、明らかに地面に線が見えているような落とし穴に足を踏み入れようとしていた。何故そんなものがそこにあるのか、果たして作劇的に意味はあるのか。この世の無常と噛みしめつつ、理不尽に怒りを燃やす仕業人たち。しかしそこで主水が「おれたちは何か重大な間違いをおかしてるのではないか」と気付き始める。

圧巻の落とし穴転落シーンが印象深い黒木栄之進(チャック・ウィルソン)。

解説

 15分に及ぶ圧巻の穴に落ちるシーンは最初は正面、次に側面から、最後はスローモーションでという香港映画おなじみのスタイルで撮影されている。脚本の安倍ニコルソンはのちにシナリオスクールでこれを上映し「この脚本のオマージュ元はわかるかな?筒井康隆の『きつねのお浜』だよ」とネタばらしをしたという。また途中キングザウルス3世がなんの脈絡もなく登場するシーンでは尿路結石のレントゲン画像を使用。必殺シリーズの映像に対する「こだわり」が随所に感じられる回である。

劇中挟まれた尿路結石のレントゲン写真。