JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

水不足騒動

 我が家は井戸水、上水道がタダ!という触れ込みでこの家にずっと住んでいる。水がうまい。
 そんな我が家の井戸水ポンプの点検がこないだあったのだが、ポンプと水槽を清掃した途端に突然ガタが来た。何がこびりついていたか想像はつく。風呂場を真っ白にし、前のポットをぶっ壊した豊富なミネラル分。

 ポンプ屋さんは何せ清掃と点検だけと踏んでたろうからまず一日めの水が出なくなった時点で安心しきっていた。しかし二日目の夜になって突然水が出なくなる事態に駆けつけざるを得なくなる始末に、日に日にやつれていっていた。
 結局おおもとの逆流弁がぶっ壊れているという結論から、どこかの家が水を出しっぱなしにするようにと、おれの家の洗面所の水を流しっぱなしにすることにした。
 
 結局井戸水のポンプはメーカーさんまで呼ぶことになったらしく、果てしなく長い戦いとなった。一週間くらいしただろうか。まあなにせ築何年かわからない、たぶん社員寮か何かであったと思われる古いアパートだ。こないだのワールドカップ予選の最中に呼び出されたときは可哀想だったなあ。正直今度菓子折りでも持っていこうかなと思う。

 さて、水がない生活というのは全く自分の中で想像外であった。
 当たり前のように蛇口をひねってどばどばと水を飲み、炊事洗濯をし、トイレを流すといったことが一切できなくなったのだから参ったものだった。一番最初に困ったのは朝一番の仏事だ。まあポンプ屋さんの事前のチラシのおかげで水はたくさん貯めておいていたので、事なきを得たとは思ったのだが。
 全く予想外な形で水不足だなあというのを知ることになる。明らかに指がかさつき始めたのだ。加齢じゃねえかと侮るなかれ、信じられないくらいにありとあらゆる物体がざらついて感じた。俺はどれだけ水を飲んで暮らしていたのだろう?そんでどれだけ水に依存してたのだろう。

 いろいろ巻き起こした今回の騒動で一つ気がかりなのは洗濯機のふたが経年劣化とおそらく井戸水の水質で想像以上にボロボロになっていることに気付いたことだった。これ、いつまで持つだろう?洗濯機の機能上は今のところ問題ないんだが、かたちあるものはいつか壊れるもの。なくなるもの。儚いもの。カミさんの件で分かっていたことじゃあないか。それにしてもさみしさが募る。俺もいつかはおんなじように、なくなってしまうのだ。ぼろぼろにされて、よれよれになって、そして動かなくなってゆくのだ。