JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

「これがなかったら死んでいた」

 他人にとってはこのおれのとりとめもない日常を綴った日記など本当にどうでもいい話だし、そもそも人間基本自分以外の生死自体が案外
 「どうでもいい話」
 なのである。どんな偉業を打ちたててようがそれは変わらないと思う。社会的な損害を蒙る、とかそういう話が絡むんだったらそりゃ考えるけどさ。たとえばオンリーワンの天才が現場を回していた会社がその一人の死で立ち行かなくなって倒産、という事例なんて聞くとどうでもよくはないんだけど、そのどうでもよくなさは「社会経済的」というか生臭いというか。

 …などとドライに思っていた時期があったがあっさりそれはカミさんとの大恋愛と、ドラマチックな結婚と闘病と死によってそうでもないなあということを圧倒的に体感してしまった。まあなんだ、
 「その辺は個人差があります」
 という事なんだろう。なもので今実際心配をしてくれる友人なども居る事だし、正直何度も頭をよぎった後追い自殺をすることもなくこれがあったから生き延びた、といういくつかを紹介したいと思う。

 1「機種変+会社乗り換え」
 待て待て待て。一つ目それか?と思うがプロバイダの関係で劇的に安くなることを知っていたのだが、カミさんが頑迷にゲームデータの消滅を恐れて拒否。嫁の
 「こうなったら意地でも自分の意見を変えない顔」
 あー思い出して来た。偏屈な奴だった。
 そしてそれによって2のほう、これがかなりデカイ。

 2「勇者ヨシヒコと七人の勇者」
 本当に面白かった。毎週、食い入るように見た。
 嫁の死の直後は本当に動けなかった。まあ心の病気というやつです。午前中はまず目覚める。仏壇を確認して気が狂いそうになるのを落ち着ける。一人きりなことを確認して落ち込む。深海の底にいるような鬱の闇に沈み寝込む。午前は体が動かない。
 そんな中で「楽しみなテレビ番組が一つある」ということ、なんとありがたかったことよ。しかも過去作の再放送までやってくれたのだ、TVQ。もう彼らに背はむけられぬ。ありがとう山田孝之、そしてムロツヨシ。特にムロツヨシの演技は同世代の小劇場の役者さんだなー、こういう人が売れるようになってくれておれも何か頑張ろう、そう思った次第です、うん。
 あ、でも3も結構ヘビーだったぞ。

 3「ボギーからのライブオファー」
 俺ね、たぶんライフハックの一つとしてライブオファーをとったんだと思う。これ、葬式にボギ君が忙しい合間を縫ってきてくれた(!)時に「ラウンジ出たいです」って言ったのがそのまま約束通り。まだ四十九日も終わってない日にライブしましたよ。

 この動画、ちなみにYOUTUBEで見るとブーイングがすごく多いんだけど、どうも個人的感情による人間の嫌がらせっぽいので後日ライブで「なんか宇宙サービス関連の動画に3票ずつブーイングがついてて気持ち悪いのでみんなもブーイングしてみてください!」といったところ次の日10〜11票ずつになりました。その後Disコメントがついて、そのアカウントを特にコメント返しもせず嫌がらせとして運営報告し削除したら一切来なくなりました。何が楽しくてそんなことするんだろう…俺みたいに諦念からスタートしている零細なバンドマンに…。
 このブーイングをした人はきっとおれの「なんとしても生きよう」に対してへらへらとそのような行動をとったのですから、まあ推して知るべし、然るべきところにいるような人間なのでしょう。別に天罰よ下れとは思いませんが、「一生買うスナック菓子の袋が微妙に開かないやつに当たる呪い」くらいにかかってほしいと思っています。

 ま、そんな話はさておき。ライブすごくね、体力消耗したんですよ。何曲めかでステージ上で意識失いかけたのを覚えてます。そうは見えませんけど。でも先の予定入れたんです。必死でした。このオファーの予定が入ってなかったら12月とかもやらなかった。まあ、やったから何、お前むかつくやつだから死ね、と言われたらそれまでですけどね。生き残ったからには何か意味があるんでしょう。

 4「なんだかんだで法事」
 お寺の息子の人に言われたことがあるのです。
 「法事というものは、人の悲しみを和らげるようにうまく計算して作られていると思うのです」
 その人本職は予備校の数学の先生です。彼がそういうのだから、そういうことなんでしょう。
 初七日。月命日。四十九日。初盆。一周忌…そのたびに、喪主を務めた自分はそれを主宰しなきゃいけません。坊さんを呼ばなくちゃ、親戚一同を呼ばなきゃ、いろいろ手配をしなくては、仏具を買わなくちゃ。自分の宗派がどこになるのかを調べること、どういうしきたりをしているのか。
 なんだかんだで浄土真宗本願寺派の本をいくつか読んだり、すっかり虜になってしまいました。この宗派は大変しきたりに関しては比較的ゆるく、初盆はお坊さんの読経だけでよいとのこと。まあそれでも盆提灯くらい買っておこう。なぜしきたりが緩いかについては、ちゃんと勉強しておいたほうが良いです。しきたりの厳しい宗派の親族が混じっていたりすると、あれはなんだともめごとが起きる心配があります。
 結局そういうことをやっているうちになんだかんだで9カ月目、生き延びています。しょうがないよ、やるのは俺しかいないのだから。

 人に死ぬなというのは気楽。己に死ぬなとも安易にいえない状況の中でどうして生き延びたのか?
 今もそんなに、未来に展望なんてないのでそういう状況じゃないけど。生きてます、以上。こんなもんかな。