JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

Alek et les Japonaises

 今年もアレック夫妻がVoodooにやってきた。

 彼らが最初に福岡来たのはやっぱりラウンジサウンズ。しかも、その日宇宙サービスで対バンだった。
 たちまち虜になった、というかライブハウスに立つ電子音楽を使ったエンターティナーというだけで、やっぱり戦友という気分になるし、勉強にもなる。こないだ見たレ・ロマネスク然り、これまた戦友のカシミールナポレオン然り。
 アレックのラテンギター、マイの日本歌謡の味付けが、このユニットの音楽性を唯一無二のものにしていて、そしておそらく相当の歴戦を潜り抜けたであろう飽きさせないステージング。
 http://ingel.asia/pickups/contents/355
 (インタビュー、ここなんか読むと相当の歴戦を潜り抜けたのがわかる)
 アレックと自分、やたら打ち上げで仲良くなった。
 だって、スゲエ楽しいんだもん。言葉わからないのに。この顔を見よ!!

 アレックと対バンのとき、僕らはイマイチのライブが多かった。
 一度目の対バンのとき、妙に気負って今ひとつの出来。
 二度目の対バンのとき、自分はいろんな事があって仕事をやめた直後。力入れすぎて今ひとつ。
 そんでこないだの対バン、ようやく面白いライブを見せられたと思う。

 実はアレックが来る直前、英語でメールが来た。
 「家に泊めてもらえないか?」
 返事を書いた。
 「いいよ、丁度嫁が入院して部屋が空いてるんだ」
 日本語で、奥さんのマイさんから返事。
 「嫁さんが入院だなんて、大変でしょう!次の機会にしますね!」
 心配をかけてしまったが、自分にとっては『入院』『ガン』は日常になっていた。麻痺していて、心配なワードじゃなかったのだ。
 ライブ会場で会った時、アレックもマイも心配してくれた。
 何度もアレックが励ましてくれた。
 自分は嫁を支えるための苦労を思いだし、二人で抱き合ったとき泣いてしまった。緊張から解かれた気がした。アレックは言葉はわからないけれど、それは伝わったようだった。
 


 嫁はアレックの「アントン指がくさい」という曲のエピソードが好きだ。
 なぜか仕事行く出迎えのときに必ずアントンのポーズをやっているような気がする。意味はわからんが嫁が気に入ってるらしい。
 ライブ終わった次の日、一応病床の嫁にそのポーズを取ってもらって写真撮った。
 嫁、なんかにまにましていた。
 早速送付。彼らはまだまだツアー中。何日か後に返事が来た。
 アレックから読むだけで嬉しくなる英語のメールが返ってきた。
 「奥さんがアントンのポーズしてくれてるなんて!嬉しいよニッシー!!」

 音楽ごとは、楽しい。こういうことがあるから。