ようやく秋風
夏の間、近所の学校の植えている木に毛虫が大量発生。
学校そばのバス停のある歩道、そしてそこに面した壁は、凝視するとたくさんのうごめく虫が見られる、虫嫌いの人にとっては地獄のような場所。
いや、虫にとってもそれは地獄で、何かの拍子で樹の上から落ちてしまった毛虫たちが、灼熱のアスファルトの上を一刻も早く逃れようと全力でうごめく姿が。そしてあえなく力尽きて、からからに干からびたいくつもの骸が見られていた場所であった。
その場所を、出勤および昼休み(昼ごはんは家に帰って食べています)のたびに通りかかるおれ。
地元の人もわかっているもので、壁際に近づかないものなのですが、ある日うら若い女性二人組が、壁際に腰掛けん勢いでバスを待っています。
やっべーなあ、あの壁際、気が付いたら恐ろしいことになるぞと思って視線を投げかけたら、偶発的に目が合ってしまった。
女性たち、片手にハングル文字で書かれた観光ガイド。
とっさに
「・・・Sightseeing?」
「Yes!」
「Welcome to Dazaifu!」
とか拙い英語で会話。
あの二人の観光客のコリアンの女性たちはなぜ、地元のオッサンに唐突に目が合って、話しかけられたのか。多分その理由を知らないままバスに乗ったのだろうなあ。そう信じたい。
ようやくその虫が、見られなくなりました。もう秋なのかな。