JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

仕事人講評「ゴミ屋敷」

 非常に素晴らしい回だったと思うのだ。
 あやめのキャラクター、盗賊土蜘蛛の全く媚びた雰囲気のないおどろおどろしい佇まい、殺されるに値する過ちを最小限度の出番で語りきった旗本。
 無駄がない。

 人は思ったほど無策で生きるもので、生きることに策を弄じようとすればするほど、肝心なところに落とし穴が開いているもので。そこに落とし穴が開いているとしても、それを甘んじて受け入れて生きざるを得ない人間の覚悟。
 老人たちの最後は普通に斬り死にだったのだけれど、できればもっとあの盗賊たちを煙に巻いてあわよくば道連れにするような、そんな展開をちょっと期待してしまった。そこまですると贅沢だろうか。

 匳のキャラクターが素晴らしい。源太と比較するとこのキャラクター、登場時が無色透明の存在だったのは大きいんじゃなかろうか。始めから設定をごてごてとつけた状態で、それにがんじがらめだった(故に死に様は胸を打ったのだけど)源太に比べると、やっぱ自由度が高いっていいやね。三田村邦彦の秀の初期がこんな感じだったか。最後の大八車のシーン、あの仕事人1の大八車の回を思い出してしまった。

 あ、今回は音楽ががんばったというよりむしろがんばりすぎ。
 助け人の音楽を多用したのはやっぱり狙ってるかなあ。「助け人」だったらこの回は、老人たちを助けて終了なんだけど…あ、それじゃ仕事人にならないからせめて音楽だけでも雰囲気味わってってメッセージかしら?
 出陣のテーマに流れた助け人劇判を、最初のドラムの部分で「あ、これ殺しの音楽じゃないほう」と見切ったあなたは相当のマニアだと思います。よく聴くとちょっと遅い。
 しかしあんなとこで使うくらいなら、久々の大物殺しだからあそこで使ってくれよう、初代主水のテーマ。「♪俺だけ〜俺だけ〜藤田まことと〜(※作詞・俺)」