仕事人講評「金が仇」
いや、現場が乗ってきた!!
すげー変な表現だけど、松岡が、だんだんと涼次になってきた、うん。
ストーリーの縦糸は単純明快時代劇で、そこにひねた現実風刺をぶち込み、勧善懲悪へのアンチテーゼ的なプロットをぶち込めば必殺。最初の何話かは、それを生み出すのに四苦八苦していた感じだったのだけれど。すっかりこなれてきた感が。
いやー、今回は悪人が本当に悪人でした。
あと、如月はいいキャラですね。やっぱり瓢箪から駒ではないかと。
で、今日の殺し。
ラストの殺しの演出、何気ないようであっけないようで、あれは凄いんじゃないですかね?
必殺の殺しのシーンって、出来るだけ小者のほうから殺すわけですよ。
いくら正義の侍が悪人を殺すことで視聴者のカタルシスを満足させようと、人殺しは人殺しでしかない。そういうテーマを盛り込んだ時代劇として画期的だったのが必殺だったわけだけれど、さすがにそれはテレビエンターテイメントとしてはいささか重過ぎるわけです。
必殺では、こういうカタルシスの得にくい下っ端が殺されるシーンはできるだけ軽く、時にはコミカルな殺しで済まされることが多かったわけですね。
今回の殺し、それをトリに、ちょっと間を持たせた感じでじっくり小五郎が見せたという演出。これはなかなか憎い。仕事人をただの正義の味方になぞするものか、というスタッフの決意が見え隠れして、にんまりしてしまいました。
それでいて松岡の怒りがダイレクトに伝わる、見事な演出だったかと。
脚本家目指したくなっちゃったよ!!