JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

仕事人講評『薬物地獄』

 一度様々な人の必殺仕事人2009感想日記を読んでいたら、こんなのがあった。
 (ニュアンスで表現したいので文体はこんな感じじゃなかったことを先に記します)
 キャハハハ、必殺とかやってるんスけど時代劇凄いね。人とか殺してるし。あ、俺頭いいからいい事考えた。こういう勧善懲悪ってバカみたいな寓話にドストエフスキー罪と罰混ぜたらかっこよくね?中村主水が間違って妻とか友達殺して、スンゲーブルーになるの。俺凄くね?

 …いや、そういうのとっくに必殺は通り越してて今があるから。
 って、とてもそういう部外者に胸を張って言えなかった後期必殺仕事人の珍作たちよ、さらば。
 アホなサブタイだなあ、と思ってナメてたら、ガッツリいかれました。

 そう、必殺シリーズはこういう時代劇なんですよ。
 ほかの時代劇なら、悪人がいて、それに立ち向かう人がいて、力及ばず非業の死を遂げて、そいつに代わって許せねーとわかりやすく怒り、そしてズバッ。
 …でも、必殺は基本的に金をもらって人殺しする葛藤なんていうテーマも盛り込んでるから、助けられなかった悲しみを受け止めながら、やりきれない気持ちで一度は怒りを封じ込めなきゃいけない。

 あの、同心安川が自害したように見せかけられ、それを殺しの的になる同心杉内が泣きながら「私がついていながら!!」などと白々しく介抱するのを、仕事人二人が静かに睨むシーンを観て、いや本当にゾクッとしました。

 今回は実に無駄がない。実に素晴らしかった。
 唯一拾い切れなかったのは杉内の妻の病気の伏線か。あれも「とっくの昔に死んでおるわ」的な台詞が欲しかったかも。

 しかし実はポイントは如月なのでは。必殺には伝統的に、こういうキャラが必要なんです!!