荒涼とした食卓
朝から家人の愚痴を聞く。
重要な案件を放棄したい、お前のことはどうでもいい。後のことは勝手にやってくれ。ってな話。
相変わらず幸せなヤツだ。
家族は無条件で大事にするもの、愛すべきものという概念が消え去り、ずっとその家人をドライに見守ってきて幾星霜。愛する心は持っているが、恩は返す気はもう起きない。
家人だからこそ見放せないんだ、ってこっちの心は相変わらず届かない。届いていたとして、なんだってんだ。
自分の方も大変な時期だからしっかりして欲しい、と告げた。
「あんたのことなんかどうでもいいよ」
という言葉を貰い、アンタらしいなと小声で吐き捨てた。
散らかった食卓には蟻、朝食はヨーグルトだけ。
冷めたインスタントコーヒーに砂糖なんて入れる暇は、ねえ。
テーブルの上には家人が安いからとテレビ欄目当てにだけ取ってる某新聞。その罵詈雑言を見ながら、俺の心もこれくらい荒れ果ててんのかね、と少しやさぐれて、出勤。