JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

君のいうことは正しいのはわかったから

 こういう本音を言ってはいけない事には訳がある。
 http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/archives/48479701.html
 失礼ながらこの人の本業がアナウンサーであることも何も存じ上げない。
 ただ、淡々と自分の実体験をこめてこの本音がいかに正しく、そしてどうして言ってはいけないのかを書こうと思う。

 生活習慣病は自業自得。自己責任。これは全くもって正しい。
 そもそもこの世の中に誘惑が溢れきった世の中なのだ。自炊をしてみるとわかる。スーパーですらお手軽に出来る○○、みたいなパッケージ製品がいっぱい売られ、料理の手間を省けるようなものが並び、それらの大半は高カロリー塩分過多糖分過多の場合も多い。
 さてそういったもので手間を省いた余った時間で何をするかといえばまた、スマホでもテレビでも何でも時間を潰す方法手段は今この世にはいくらでもあり、わざわざ意識高く持ってジムなんぞに通って運動なんてする訳がない。
 正しい。だが正しさが恐ろしいのは、それはいくらでも拡大解釈が出来ることである。

 うちのカミさんはがんという大変な病気に罹っている。
 しかし実際、原因は判然とはしない。
 「遺伝」「生活習慣」いろんなことを想像するとなる。
 いろんな人々が「自称当事者」として我が家に押し寄せてきた。はっきり言えばカミさんとの闘病で明確な当事者はうちら夫婦ふたりなのだけど。その中には「どうしても原因がわからないと気が済まない人」も現れる。「原因をこうだと決め付ける人」も出る。
 そしてその中にはがんを「生活習慣病」の一つと捉え、食事が悪い、自業自得だという言葉をかけてきた人がいたのを記憶している。
 「悪かった探し」を一度始めだしたら、本当にきりがなかった。
 あの生活習慣が悪かった、自業自得だ、自己責任だ、ひたすら自分たちを責めたが何も得るものはなかった。
 結局の長谷川様というこのたいそうご意識の高い方の唱えている「正しさ」をひたすら拡大解釈して引き伸ばして、自分たちの心をばしばしとぶん殴ってるだけだということに気付くまで何年かを要した。
 そして気付いた。これは正しさなどではない。最早「呪いの言葉」だ。

 別にこのはっせーさん(※もう適当)が同じような目に遭え、とは思わなくって、実は今思い返してみるとこういう正しさで人を殴る言葉を撒き散らしてきたタイプの人って、みーんな「どいつもこいつもおれと同じ様に正しさに殴られて痛い目に遭っちゃえ!」って全身全霊で叫んでる人。無意識タイプもいた。この場合は大変性質が悪かった。

 「正しい」を突き詰めると残酷だ。それこそ生物学や化学レベルまで行き着いてヒトや魂のあり方まで数式的に突き詰めるともうどんな人間の文明の事象もぶん殴れる展性を持った「正しさ」が生まれる。われわれの誕生と存在は単なる自然現象の一つに過ぎない。呪いの言葉を壇上で叫ぶ醜態を晒した君の姿を「炎上」という形でぶん殴っているのは、おそらくその「正しさ」なのだろう。君のいうことは正しいと思うよ。だから俺の手にした正しさの言葉でぶん殴ろうと思ってこの文を書いた次第。

 で、この人あんな恥ずかしい持論書いてお金もらえるんだから気楽でいいね。