JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

この一ヶ月を振り返る

 横で寝ているドンの字が言うには、今月自分は何度も眠るとき、うなり声を上げていたそうだ。
 今朝、悪夢にうなされて飛び起きた。
 ひょっとしたら今日の悪夢が、今月初めて覚えていたものだったのかも知れない。
 自分の取り巻く環境を如実に誇張して顕現した、たまらなく嫌な夢だった。

 身支度。
 台所で、昼食のおにぎりを作るドンの字の横で自分が切り出した。
 「なあ、ちょっとだけ旅に出ていい、と訊いたら、怒るか?」
 やっぱりな、という表情をした後。
 「それであなたが落ち着くって言うんだったら、いいかな」
 と言った後、しばし沈黙。

 そして、二人で泣いた。
 この辛い朝のことは、きっと一生忘れないだろう。

 どこか冷めた顔で自分は今、僅かの残務を整理しに会社にいる。
 会社の人間からの送別会の開催の提案は、丁重に断った。
 彼らの大半はこの世の地獄をまだ知らない。自分のくぐり抜けた場所を。そしてお先に失礼とばかりにまた戻らなくては行けない場所を。人を地獄に追いやるのに、笑ってお別れ。彼らは知らないのだから、付き合ってやる必要など、ない。