JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

バス停トーク取材旅行とモルモン教の姉妹


 おれにはこんな趣味があり、ずいぶん前からブログもやっておりますが何せこれ、隣の県への旅もの。しかも交通の便的には高速道路を使わなければ1泊は辞さない場所までは掘りつくしており、竹田や佐伯と行った県南エリアはじっくり取材するにはなかなかカミさんの病気が許してくれなかった。
 いや、カミさんの病気が悪いわけではなく、カネだ。マネーなのである。貧乏暮らしに毎月手出しで返さなくてはいけない金は辛かった。しかし30ヶ月に及ぶ地元福祉協議会から借りたお金、分割払いも先月でついに完☆済。

 グーグルマップでしこたま情報を収集し、行くところをかなり絞って望んだこの旅。バス停的にうわーいと喜んだ話はそっちで書くとして、最後の目的地

 に辿りついたあと帰路につきながら、俺は思った。
 「ああ、おれ、今一番されたいことはあれだ。カミさんに逢いたいんだ」
 思えば石川さんとライブが出来たときも、帰宅するなりにっこり笑って「よかったね」と言ってくれた。今日のこの旅は生前ならカミさんは「ふーん」だったろうけど、今のカミさんならきっと
 「今まで私のためによく頑張ったね」
 と頭をなでてくれるかもしれないな、そう思った。ものすごく涙が出た。怖ろしい山道の中。…傷入れると大変な格安レンタカーなんだけど、まあよくもまあ無傷で怖ろしいキロ数だったらしい。車中泊に関してはカミさんの遺したヨガマットがものすごい効力を発し快眠。断熱効果半端ないな!!貧乏旅行を自称したおかげで食事もほとんどとらなかった。本来の目的が楽しすぎたのだ。

 家に帰ると虚脱感が待っていたし、二日の車中泊は山中の道の駅。しかも出発の際ぎっくり腰をやってしまった。その上食事を取らなかった不摂生。やっばい、体の芯から寒気が来る。風邪引いた。晩御飯食べた瞬間気分が悪くなり寝込みかかる。

 そこにモルモン教の勧誘がやってきた。しかも日本人的に無碍に断るのも難しい若い外国人女性二人組だ。
 精神・体力・ヒットポイントもマジックポイントも低いところに最悪のタイミングである。これはアカン、下手したら改宗待ったなしやで、おれの心の中の(多分)カミさんが全力で知識を駆使して切り抜けろと言ってきた。上手い具合に今のとこ諸事情あって敬虔な仏教徒である(というかあらざるを得ないと言うか)ことと、その教義がプロテスタントに近い宗派であることを告げ必殺の「理論武装で断りモード」に入ろうとしたが、表札を見て
 「奥さん、いるんですか」
 あかーん!!そっから先はこちらもどんな話をしたか覚えていないが、とにかく泣きながら必死に断った。泣きながらである。次の日37.1度の微妙な熱と悪化したぎっくり腰と胃腸炎か何かという最悪のコンボに苦しめられながら朝起きて郵便受けを見たら、その勧誘の姉妹の手書きの手紙が入っていた。電話番号とともに。
 「おにいさんはおくさんいまたあうとやくそくします えいえんのかぞくにしんじています そのちしきからへいわとよろこびをかんじられます おだいじにしてください!」
 …うん、この姉妹の優しさだけは受け取ろうと、素直に思った。
 絶対に電話はしないけど!!うちは浄土真宗西本願寺派!!肉食妻帯!!