JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

仕事人講評「最終章〜仕事人狩り!」 

 今作をリアルタイムで見て、「必殺スゲエ!!」ってかぶりついてる若造。
 必殺の最終回が2話仕立てであるお前らは幸せモンだよチクショウ。
 俺のリアルタイムの仕事人ってのは、最終回直前まで毎回しっかりしろいパラパ〜のクソ時代劇さ。主演した藤田まことさえ「フィルム使いまわしたほうが増しだ、演技もへったくれもない」と苦言を呈した頃。しかも最終回は毎回お決まりの、ヤバイ相手殺して解散だ。

 その頃地元では昼に、旧作の再放送をやっていたのだ。
 その前期必殺作品ときたらもう、どれだけ魅力的だったことか。
 なんてったって旧作では最終回、人死にが出るのだ。
 おどろおどろしい影の映像と、キリキリと胃が痛くなるようなサスペンス音楽の連続、そして最終回だけに狡猾かつ強大な悪党たち。普段なら絶対無いチャンバラ、拷問。そして今まで表の顔・裏の顔と親しんできたわれらがレギュラー殺し屋が、表に顔を晒され掟の名の元に死を選ぶ。
 おためごかしの仕事人4とか5の最終回なんかもう観られねえよ!!

 …。
 なーんてひねくれてた自称必殺マニアだった、小中学校の頃に見たあの「怖い最終回」が帰ってきた。
 Aパート終わったあと、時計を見てまだ15分しか経っていなかったことに驚いたくらいの濃密な話。ストーリーも、本格的に時代劇。いや、皮肉とか変な意味じゃなくて、必殺ってのはスタンダードな時代劇作劇へのアンチテーゼがスタートラインじゃない。だから、最終回のようなイレギュラーな話になるとどうしても、時代劇ですらない突拍子もないストーリーを江戸時代って設定でやってるだけという話になりがちなわけですよ必殺スペシャル珍作群。もしくはブラウン館。時代劇できちっと作ってくるってのは、すんごいことですよ。脚本○○だったら絶対大奥話ですよ!!

 こんなに必殺観ながらビリビリ来たのは映画の「必殺III」以来だなあ、うん。

 突っ込んだ最終回の話は来週観て書こうと思ってます。

 思い出してみると、最終回前ってのは引きを準備する回も多くて傑作も多いねえ。
 死神が心中、組織崩壊のきっかけを作った「新仕置人」。裏稼業がばれ、「あんたの手についた血、落ちないよ」と内縁の妻にラストで言い放たれる「仕事屋稼業」。棟梁が帰ってくる「助け人」、おばさんの記憶が戻る「うらごろし」…。

 しかし「からくり人」を思い出してみるとだ。
 殺しの的は老中、水野忠邦。しかし単身夢屋時次郎が五重の塔から挑んだ遠距離射撃は、弾道に鳩が偶然横切って失敗。追っ手が迫り来る中、自らに火薬を振りかけて自害して果てた、そんな話だった。
 老中、しくじり、老中お抱えだった対立組織の追っ手。おお、結構符合するじゃないか。興味深いが…「からくり人」最終回で他のメンバーがどうなったかというと…。