JIMA-DON

ニシジマオさん(自称日曜音楽家)の日常と散文駄文

だから言ったのに

 恥を忍んで書くのですが、昔役者をやっていた頃、芝居で客を怒らせた事があります。
 迷惑になるので詳しくは書きませんが、無意識のアドリブで軽口を客に向けたのが、ご本人の尊厳を大変損ねたとの事だったのです。その表現は振れ幅なんて大きくもないはずなのに、その一人にとってはとてつもなく大きなことだったのでしょう。思い出そうにも、ちっとも覚えていません。

 それ以来ぼくは一切役者はやらない事に決めました。
 そしてうざがられても、怒られるような事をしたお客様には謝る事にはしています。

 ぼくは振れ幅の振り切れた表現が大好きです。
 だがね、やっぱりそれは振り切った先で人を傷つける事もある。
 傷ついた人に「耐性がないやつだなあ」なんて身勝手な事をのたまう自称前衛芸術家の心構えも、覚悟の上から発せられたらそりゃあもっともらしく聞こえます。だがね、そうやって失った客は、もう二度と戻りません。そして、振れ幅の大きい方法で、レスポンスをくれるのです。
 その時のお客様が間接的に自分に向けた言葉と言動は、僕にとってあまりに尊厳を損ねる事でした。

 そういう修羅場をくぐって、なお客の前に立っている自分。ぬるいだのなんだのといわれようが、あたしゃ矜持を持って表現に臨んでいくつもりです。そしてそれがそのお客様への今できうる、真摯な回答ではないかと思っています。

 某氏がしでかした話を聞いて、どうももっと、そういう自分の体験や、その時の気持ちを伝えるべきじゃなかったかなと思いました。
 ぼくはそういったぶっちゃけ現場の上司的な観点で、警告を発していたつもりだったのですが、威厳のない自分の悲しさか。なんか調子に乗ってメーター振り切ったまま行っちゃったかな。
 メーターを振り切った表現は嫌いじゃなくって、以前自分たちのライブに出た時の彼の言動も実は口で言うほど(=文章で書くほど)本音では怒っていないのですが、あれより上まで暴走しかねない彼の興奮っぷりと周囲の賛美には辟易していた感があります。

 フランクな文章で端的に書くとさあ、たまにやるからすげえおもしろいんだよ、ルール破りは。毎回それやってみろ、お縄を頂戴するぜ?ってことがずっと言いたかったのですけどね。不快に思われた方々の振れ幅の大きいレスポンスは、即ちそういう事になるんじゃないの?正直呆れてついていけませんね。

 最後にこれは本音、当事者じゃなくて良かったと思いました。

ちなみにタイトルは「あるんすか、そうすか、すいません」に続く伊集院光のラジオジングル。

 痛い痛い痛い

 今日は「テンション上がってきた」の練習をすっ飛ばしてこれを書いています(メールは送った)。

 だから虫歯は自然治癒ないよって言ったのに放置するんだもんな
 痛い痛い痛い

 火曜日のラウンジサウンズ、いけなかったけれど凄絶な現場になったようですね。いや、先日堕天使で対バンした折からこの流れだといつかそうなるだろうとは思っていたのですが、賛否両論の否の部分に真摯に耳を傾けないとああなるという見本じゃなかろうかと思います。

 ボクは自分にも他人に対しても口下手で、やっぱりいつもだれかれにでもなくこう言います。
 だから言ったのに。
 だから痛い痛い痛い